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ブレークとは?
ウィリアム・ブレイクをたんなる神秘主義者に見たり、幻視者などと見てはいけない。ふっふっふ、ブレイクはたいそうな激辛なのである。そのうえで揶揄の天才であって、かつまた夜想者(夜陰の紛れ者)なのである。ぼくが子供にこそ見せたいと思ってきた『天国の門』の口絵には芋虫がいて、その下に「人間とは何か」に始まる詩句がきざまれた。ブレイクはそのころは雨後の筍のように輩出していたロンドンのジャーナリストたちの言動に、いつも激しく噛みついていた。対岸のフランス革命を讃え、そして批判した。ラファイエットとロベスピエールの両方を睨んでいた。神と悪魔は現実社会の中にこそいることを見ていた。だからこそ、詩篇『ティリエル』にはイギリス人とフランス人たちの理性の悲劇が歌われていた。
メタでレアなブレイクは、リヴァイアサンなどとうてい許しっこない。国家よりもずっと大きくてずっと流動的なものに憧れていた。リヴァイアサンなどつまらなかった。そこには対立がないからだ。ブレイクは「対比」をこそ歌った詩人なのである。
ブレイクは天使の放縦も許さない。そこにはぞっとする想像がないからだ。スティーブン・キング君、わかるかな。ブレイクにとっての想像とは真の「想起」なのである。ごっごっご、その最も恐ろしい想起とは「神の死」というものである。ブレイクの無神論的神学は「神の死の神学」なのである。ヘブライズムに根差したものなのだ。
[引用サイト] 松岡正剛の千夜千冊『無心の歌・有心の歌』ウィリアム・ブレイク
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